ベーカリー相談室

「ベーカリー相談室」はMIYOSHI no KIMOCHI会員の皆様から寄せられた質問やお悩みを、
ベーカリーシェフにお答えいただくスペースです。

ご回答いただくシェフのみなさま
  • パン焼き小屋Zopf

    伊原靖友シェフ

  • ブーランジュリー・オーヴェルニュ

    井上克哉シェフ

  • ビーバーブレッド

    割田健一シェフ

  • ブーランジェリー・フリアンド

    谷口佳典シェフ

  • 森のベーカリー&カフェ(旧:パン工房マローネ)

    西山重明シェフ

ベーカリー相談室受付

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  • 質 問

    新商品の開発から発売に至るまで、どのように行っていますか?
    (開発から発売までの期間、開発のヒントにしているモノ、従業員からのアイディア出しをどうしているか・・・)

    常に、頭の中に新商品のきっかけになるような「種」がたくさんあります。
    ただ、次々と商品化して増やし続けてしまうと、売場に並べられないだけでなく、販売スタッフも混乱したり、製造スタッフも商品づくりがおろそかになってしまいます。製造、販売の両方のオペレーションを見て、コントロールしながら商品化しています。
    「ビーバーブレッド」というフィルターを通して商品はお客様に届くので、商品にはそれぞれ売場に並ぶまでのプロセスやストーリーがあります。
    商品化するには、2つの道があります。 
    スタッフと日々コミュニケーションを取るなかで、製造スタッフのアイデアや販売スタッフが聞いたお客様からのリクエストから発見があり、商品化する流れと、新たな素材をいただいたり、教えてもらったりして、「これ、いいね!試してみよう」という流れ。そこに自分の頭の中にある「種」を当てはめてみて、足したり、引いたりしながら、新商品を作り上げていきます。 新製品は毎日必ず出します。10年目に突入します。
    農産物直売所という特有のお店ですので、毎日のように季節の野菜・果物が店頭に並び、様々な素材をパンにすることができる環境にあります。
    原料メーカーさんや問屋さんからもらった新商品やレシピ、ネットやメディアで見た情報などを参考に、現在、店にある原料や生地などを活かして商品化しています。
    新商品は必ずスタッフと試食を実施し、評価後に店頭に並べます。
    店頭に並べる際にプライスカードとパンの写真をグループLINEに送ることになっており、休みのスタッフも知らないことがないようにしております。 新商品の開発自体がルーティンにならないことは、リテールベーカリーにとっては大事なことだと思っています。
    思い浮かんだら、作りたいものがあったら、新商品として試作を始めるという流れです。
    むしろ新商品が出なくてもいいと思っています。
    作りたいものが浮かんだときは、販売まで非常にスピードが早いです。だって食べてもらいたいんですから(笑)
    30分でレシピ構築し、その日のうちに商品にします。(発酵時間によりますが)
    日常での気づきを大事に、感動を忘れないことが、作ってみたい、食べてもらいたいという行動になっていきます。美味しさの共有ですね、苦しい新商品開発はしない方がいいと思っています。 自店では、考える力をつけるため、従業員も新商品を考えています。
    2ヶ月に1品、原価計算、ネーミング、プライスカードの一言まで考えてもらいます。
    やはり、自分で考えた商品は、「売ること」を考えるようです。
    私は、季節に合わせて考えることが多いですが、問屋さんの提案商品もよく使います。新しい材料など持って来てくれるので。毎月いくつか考えるので、長々と考えないで、ヒラメキを大事にしています。

  • 質 問

    お店のビジョンやオーナーシェフ(自分)の考えを従業員に浸透させるためにしている工夫はありますか? 仕組みなどがあれば、教えて欲しいです。

    難しいですね。 
    伝わっているのかなぁ?と思うことがよくあります。
    いいパンが焼けた時は褒めて、ダメな時はどこが悪いか、説明するようにはしています。
    やる気を高めるために、コンテストや製パン試験などへの参加を勧めており、半数くらいのスタッフが取り組んでいます。
    出来るだけ話かけるようにしていますが、なかなか考えが浸透しているとは思っていないです。自分の考えだけはブレないことは大事だと思います。 こちらからスタッフに「ビーバーブレッドはこうあるべき」と押し付けたり、考えを統一させようとは思っていないです。製造スタッフも販売スタッフもビーバーブレッドという店の雰囲気を見たうえで、入ってきているので、あまりズレが生じることはないです。スタッフから「こうありたい」「こうしたらどうか」という声が出てくるような雰囲気になって欲しいですし。
    スタッフはそれぞれ考え方も違うし、お客様へのアプローチの仕方も違うけれど、ビーバーブレッドをお客様はどう思われているのか、どう見てくださっているのかを考えています。
    まず考えるべきことは、目の前に来てくれるお客様のためにどうすればよいか。「普段来るお客様のため」なのかが一番大事だと思います。
    お客様がいつ来られても、新しく発見する楽しさやワクワク感を感じてもらえるようにしています。 製造2名・製造補助2名・レジ1名にて運営しております。
    朝礼は毎朝実施、注文などの連絡事項や売上実績報告はグループLINEの活用をしております。
    スタッフが疑問や問題を抱えている時にきちんと話して誤解や不明なことがあるまま仕事をさせないようにしております。
    経営方針や決算報告的なものは朝礼やミーティングにて話します。
    また、第三者機関による職場ストレスチェックも実施しています。(年1回)
    研修扱いとして、製パンセミナーや展示会等のイベントへの参加や原料メーカーの工場視察、生産者視察もしてもらったり、ネットやメディアで取り上げられた商品を実際に入手し、試食会を開催するなどでスタッフの認識を統一するよう努めております。 いちばん難しく、大切なことですね。
    うちのような小さな店ならば、シェフがやって見せるのがいちばん伝わりますね。
    あとは日々のコミュニケーションしかないでしょう。
    いまはLINEなどコミュニケーションツールが手軽に使えますので、うちでは活用しています。
    人数が多いと、いちばん下の者までシェフ一人で同じ考えを共有しようとするのは無理かと思います。まずは右腕左腕2人と共有を図り、ここ(シェフと2人)だけはブレないようにしていくことから始めたらいいと思います。そこから広げていくという感じでしょうか。

  • 質 問

    コロナ禍の状況が続いていますが、焼き立てのパンなど、パンの出し方をどうしていますか?  (衛生面を気遣って、袋詰めをしているものの、焼きたてパンを食べて欲しいと思っています。)

    このコロナの状況がいつまで続くかわからないですから、とりあえずの対策でビニールシートの仕切りでなどという対応ではなく、ショーケースを作るなど、対面販売をしっかり行うということがいいと思います。
    もちろん袋詰めした方が美味しいパンは、袋詰めで販売したほうがいいですね。
    「パンを美味しく食べてもらうには、どうしたらいいのか?」
    シンプルに考えればいいと思います。 自店では、袋詰めはしてないです。コロナの感染が広がり始めた当時、忙しくて袋詰め出来なくて、そのまま今日まで来ています。お客様からのご指摘を受けたのも、1回位しかありません。
    一度包装すると、止めるタイミングが難しいですね。
    緊急事態宣言があけたら、少しずつ減らしていくとか・・・。
    そこでお客様からご指摘があれば、来年まで待った方がいいと思います。 うちは基本的には袋詰めはしないです。世の中、色々な考え方があって悩ましいですが、気にしないでやることも一つだと思います。過剰になり過ぎないということ。
    最後は「普段、来てくださるお客様の目線」でどうすればよいかということだと思います。コロナが起きた頃に、テレワークしているというお客様から言われて印象的だったのが「ビーバーブレッドは変わらず、ビーバーブレッドだった。」という言葉。ストレスから解放されたくて、息抜きに来てもらっているのに、店が感染対策ばかりの雰囲気・・・というのは違うと思う。
    コロナ対策をすることも大事で、落としどころは難しいですよね。一方で僕らみたいなパン屋さんが袋詰めして売ったら、焼きたてのあのパリッと感が出なくなってしまう。販売スタッフからの話や情報をしっかりと聞いたうえで、自分がやっている仕事がどういうことなのかを見直して、それに基づいて、落としどころを見つけるといいと思います。そこはセンスであり、こういうときこそ腕の見せ所、帰るべき所だと思います。いつも来てくださるお客様のために、自分たちはどうすればいいんだろうか、どうしたいのかというのが一番かと思います。 パンを袋詰めしていた時期もありましたが、焼きたてのイメージが損なわれ売上も減りました。
    その後は袋詰めをやめて、売り場什器に透明カバーをかけ、2021年8月には移転に伴い、透明カバーも廃止しました。現在のところお客様よりご不満のご意見は頂いておりません。
    コロナ禍も時間の経過とともに過敏だった意識がだいぶ薄れてきている印象です。
    お客様は焼き立てのパンをお求めですし、近隣の同業店舗も、レジでのアクリル板設置等の対応が多いのが事実で、袋詰めしているところは稀です。
    売上を見ても、時間を追うごとにコロナ前の状況に近づき、現在では移転リニューアルの影響もあり盛況になっております。

相談室シェフ プロフィール
  • パン焼き小屋Zopf 伊原靖友シェフ

    東京都生まれ。18歳でパン職人を志し、平塚のパン屋で修業し、1986年に父が開いたパン屋を継ぐ。2000年、千葉県松戸市に「Zopf」を開業。1日300種類 のパンを焼き、6000個以上のパンを売る、行列のできる人気のパン屋となる。

  • ブーランジュリー・オーヴェルニュ 井上克哉シェフ

    東京都生まれ。中村屋「ファリーヌ」、「ビゴの店」、「ドンクジョアン」チーフ勤務を経て、2003年「ブーランジュリーオーベルニュ」を開業。ドンク在勤中からベーカリーコンテスト に参加。日本屈指の受賞歴を持つ。

  • ビーバーブレッド 割田健一シェフ

    埼玉県出身。高校卒業後「ビゴの店(プランタン銀座)」入社。2006年より同店シェフを務める。2007年、第1回「モンディアル・デュ・パン」日本代表に選抜される。2011年から「銀座レカン」グループのブーランジェリーシェフを務め、2014年12月「ブーランジェリーレカン」開店。2017年11月に「BEAVER BREAD」をオープン。

  • ブーランジェリー・フリアンド 谷口佳典シェフ

    兵庫県生まれ。
    2003年~2009年まで株式会社ドンクでパン職人としての勤務を経て、
    2009年製パン技術研修のため渡仏。4店舗で製パン研修を受け、その後2店舗でシェフ・ブーランジェを歴任。2010年に帰国し、株式会社フリアンドのシェフ・ブーランジェとなり現在に至る。2015年、第5回「モンディアル・デュ・パン」世界5位、2015年と2016年で、「モンディアル・デュ・パン」の健康と栄養パン部門で世界2連覇。第8回「モンディアル・デュ・パン」に日本代表として挑戦。

  • 森のベーカリー&カフェ(旧:パン工房マローネ) 西山重明シェフ

    宮城県生まれ。1997年「デンマーク」入社、2001年同店退社。全国農業協同組合連合会茨城県本部入会。ポケットファームどきどき「マローネ」店長となり、現在に至る。パン作りに研究熱心で、ベースのパン生地に副材料を混ぜ、新しい生地を作る「リミックスプラス製法」を製パン講習会などで披露している。
    ※2021年8月に店舗リニューアルに伴い、店名変更