ベーカリー相談室

「ベーカリー相談室」は皆様から寄せられた質問やお悩みを、
ベーカリーシェフにお答えいただくスペースです。

ご回答いただくシェフのみなさま
  • 伊原靖友シェフ

    パン焼き小屋Zopf

    伊原靖友シェフ

  • 井上克哉シェフ

    ブーランジュリー・オーヴェルニュ

    井上克哉シェフ

  • 割田健一シェフ

    ビーバーブレッド

    割田健一シェフ

  • 谷口佳典シェフ

    ブーランジェリー・フリアンド

    谷口佳典シェフ

  • 西山重明シェフ

    森のベーカリー&カフェ(旧:パン工房マローネ)

    西山重明シェフ

ベーカリー相談室受付

  • 質 問

    現在自分ひとりでパン作りをしていますが、スタッフを雇いたいと思っています。自分以外のスタッフを雇うタイミングはいつが良いのでしょうか。

    質問者様が病気や怪我をしてしまうと収入が無くなってしまいますね。最初から雇うべきだと思います。
    数字的な観点から言うと、自分の生産能力よりお客様がお買い求めになる数が多くなった時がタイミングだと思います。個人経営は残業という考え方がないので無理をしがちですが、お身体を大切にしてください。
    欲しいならすぐ、良い人がいたらすぐだと思います。
    タイミングは、お金と関係しますからね。雇っても給料を支払えない状況や、自分の給料が少なくなる状況であったら、まだ雇うタイミングではないとは思います。売上が見込める時期はあるはずなので、その前に準備していくのが大事ですね。一番悪いのは、人を雇って仕事が楽になり、労働時間も落ち着いたのに、自分の取り分がないことだと思います。今まで一人で20万/日売っているとして、それが2人になったから、40万/日にはならないですよね。30万/日にもならないかもしれない。それを受け入れられるのであったら、タイミングなのかなと思います。

    一人で働くのが好きな方もいらっしゃいますよね。それも良いと思います。ただ、パン屋さんに限らず、人と話をすることは非常に大事で。特に今のご時世で、面と向かって話す機会が減ったからこそ、感じます。とことん話をした方が、アイデアや良い答えが出てきます。
    人を雇ったら、とことん話をしてほしいですし、もし雇わないとしても、仕事と全然関係ない人でも、話し込める人がいた方が良いと思います。パン屋さんは突き詰める仕事が多く、自分で答えを見つけたいと思いがちですが、誰かに話して意見を聞いたら良いと思います。 雇用は自分の判断だけではできませんが、あらかじめ、雇う方の人件費等を含めても利益が出る計算が成り立てば雇用しても良いと思います。タイミング的にはいろいろあると思いますが、自分のけがや病気、家庭の事情なども考えて、適宜柔軟に雇用したほうが良いと思います。
    雇用しようとする人が希望通りの方とは限らないですし、育てていくという考えであれば、相手の気持ちになってしっかり雇用すれば良いと思います。(一度雇用した以上はなかなか辞めさせることは難しいですからね) 雇える売り上げがあり、自分一人でやりたいわけではないのなら、早い方が良いと思います。
    ただ、最初の1人というのはオーナーと1対1になるので、長続きしない場合が多いです。2人雇えれば、愚痴を言い合うこともできるのですが……。これが社員を増やす時の最初の壁ですね。
    場所にもよるかと思いますが、パン職人志望者が少ないのが現状です。製菓製パン、カフェなどの求人を扱う業界専門求人サイトは、どのサイトもベーカリーの求人でいっぱいです。 それは、「雇いたい!」と思った時ですね。コンサルタントからは「忙しくなってから慌てて雇うような雇い方をしないと経営的には苦しい」と言われており、それも一理あります。また、人手が欲しいと思っていても、人件費のことを考え、オーナーはギリギリまで先送りにしてしまうことが多いですよね。ただ、それをやってしまうと、もっと困ることが起きた時、大変です。自分が「必要だ」と思った時が一番のタイミングだと思います。

    規模によっても差が出るとは思いますが、ある程度従業員がいて、一人ぐらい余裕を持った人数が、心情的には一番楽です。当店ではスタッフが30~40人おりますが、必要な人数よりも1、2人多くしています。2、3人で経営されているお店は、“一人”がかなり重要なので考えてしまうと思いますが、それでも先を見越す力はある程度必要だと思います。

    一番問題なのは、雇える人がいるかどうかです。今は雇いたいと思っても、応募が来ないため、本当にタイミングが大切に感じます。常に人を募集し、働きたい人が来たら「余分かなぁ」と思っても頑張って一人入れちゃうというのが、今時のやり方な気はしますね。とにかく人がいなければパンを作れないですし、選べるような状況でもないので。

  • 質 問

    パン生地を冷蔵庫を利用し発酵させる場合、翌日生地を復温させるのに、そのままと、分割後とでは、どちらが良いのでしょうか? 冷蔵発酵させる場合、イースト量は発酵時間によって調整した方が良いのでしょうか? 冷蔵発酵をさせる場合の注意点やコツがあれば教えてください。

    復温については、そのままでも分割後でも品質に差は出ないと思うので、自分の作業スケジュールに合うやり方を選ぶと良いと思います。そもそもの話になってしまいますが、“復温をさせる理由があるのか”を考えてみても良いかもしれないですね。当店ではフランスパンなどを冷蔵発酵させていますが、基本的には復温はしていません。冷蔵庫から出したらそのまま分割に入り、工程の中で自然に温度が上がっていく感じです。
    ただ、生地が冷たいままだと発酵してこないため、早く温度が上がるような状態にする、生地玉冷蔵の場合はガス抜きや薄くする工程を入れて品質を上げるなど工夫はしています。

    イーストの量は、内相や味に影響を与えるため、一番おいしいと思う量からあまり変えない方が本来は良いかと思います。発酵時間の制御方法は、“イースト量を変える”、“生地温度を変える”の2つ。生地温度を変えるには、捏上温度を変える、ドウコンディショナーを使い温度設定を変えるなどの方法があります。イースト量を変えるだけでは生地の発酵が不安定になってしまうこともあるので、いろいろと試してみてください。

    注意点やコツですが、業務用冷蔵庫は、冷気の吹き出し口に近いところが最も冷たいということがあります。そのため庫内温度を4℃に設定しても、どこも4℃というわけではなくて。昔、冷蔵発酵生地をいくつも作っていた時は、冷蔵庫の中に、穴を空けたプラ板やダンボールで仕切りを作り、仕切りの位置や穴の大きさによって、本来の庫内温度より少し高い温度帯を作っていました。
    冷蔵庫内の温度に合わせた生地量(例えば10kg作ったら2㎏ずつや、500gずつ)に分け、生地量によって冷蔵庫内で置く位置を決めるのも良いと思います。当店も、フランスパン3kgの時は吹き出し口近くに、少ない時は遠くになど、置く位置が決まっています。冷え方が変わってしまわないように、自分の作業量や製造量に合わせた工夫が必要かと思います。

    冷蔵庫内の温度が何度であるかではなく、生地の温度がどう下がって、また上がっていくのかを知ることが大事だと思います。これは、自分のお店で、データを取るしかないですね。
    復温については、そのままでも分割後でも、工程に合った方法で良いと思います。分割後に復温させた方が早いですが、場所も取りますし、お店に合った方法を取るのが良いかと考えます。大事なことは、復温をしっかりさせることです。
    イースト量については、当店では変えていませんが、4日以上冷蔵するのであれば増やした方が良いと思います。
    冷蔵発酵は、生地の乾燥などを防げば便利な方法だと思います。いろいろと試してみてください。
    復温について
    少しでも復温が早い方が良いため、分割後に復温させた方が良いと思います。
    また、捏上後に生地のまま冷蔵発酵と、分割後玉冷蔵についてはどちらでも良いと思いますが、私見では分割サイズが大きいものやリーンな生地は、生地のまま冷蔵発酵をさせ、その後に分割した方が、復温の時間が少なく、生地へのダメージも少ないと思っています。
    乳製品・油脂・砂糖・卵などを使った生地は玉冷蔵(または冷凍)しております。

    イースト量について
    当店では、労務管理の観点から冷蔵(冷凍)生地を作成し最大で一週間使用しております。その場合、通常の配合よりも、給水・イースト・塩の量を10%程度減らしております。目指すパンの姿をどのように考えるかによって多少の変更を加えるのは、ありだと思います。

    ちなみに、冷蔵の温度帯を最適化することの方が、冷蔵保存の良し悪しや作業性に大きく関わってくると思います。当店では、冷蔵(冷凍)生地用に、0℃:冷蔵発酵用(生地そのもの、玉生地)、-3℃:玉生地発酵ストップ用、5℃:中種冷蔵保管用、16℃:フランス生地復温用と、異なる温度設定の冷蔵庫を用意しております。

    注意点・コツについて
    冷蔵発酵生地の捏上温度は、ストレートの温度よりも3℃くらい下げて捏ね上げています。
    生地の温度をホイロ前までになるべく上げ下げしない方が、最終製品への影響が少ないと思います。
    生地は空気に触れないように、2重に袋に入れると良いと思います。
    どんな商品をどう並べたいかや、どのくらい生産したいかの根本的な話になりますね。いろいろと試していく中で、自分達のスケジュールや、お客様の要望も含めて、“自分の店はこのやり方が良い”と収めていくのが良いと思います。どちらが良いというよりは、どちらのやり方もあるという回答です。もっと言えば、冷蔵発酵には他にもパターンがあります。
    当店だと、仕込んだ生地を冷蔵発酵させ、翌日に戻して分割から始める方法と、生地玉冷蔵の2つのパターンを取っています。また、成形まで行った生地をドウコンディショナーでゆっくり発酵させる成形冷蔵もあります。朝来たらすぐに窯入れできるようにしています。
    お客様から、「冷蔵発酵は嫌だ」「良い」などの意見は聞かないですよね。そのため、お客様の要望を考えてみると良いと思います。例えば焼きたてを小まめに出してほしかったら、全部成形しておいて、時間を見ながら焼いていくやり方が合うと思います。どうしたいかが一番ですね。

    イースト量は、生地が発酵した方が良いので、調整する必要があると思います。当店の冷蔵発酵の菓子パンの場合、成形後すぐホイロに入れ、焼き上がりの一時間から一時間半後には店頭に並べるため、イースト量は多くしています。砂糖などの副材料が沢山入っていて、イーストが多くても風味に影響しにくい部分もありますし。もちろんイースト量が少ないと美味しいですが、その分発酵にすごく時間がかかってしまいます。そこの塩梅は決めなきゃいけないと思います。

    注意点やコツは、バゲットなどのハード系は、温度を戻し切れずに冷たいまま発酵させると、膨らまないため、成形時の生地温度の管理や把握をしっかりと行うことですね。当店は成形時18℃と決め、それよりも低かったら少しホイロに入れておくなどしています。経験から、分割してホイロに何分入れておくと18度くらいになるというようなデータが取れており、基本的に毎日同じリズムにはなっています。ルーティンでできる工程を増やした方が、仕事がしやすいと思います。
    まず、当店では粉のタンパク量・生地の力・水分量等による生地の強度によって、弱い生地はブロック冷蔵、強い生地は分割後冷蔵と使い分けています。
    ブロック冷蔵の場合、ブロックのまま復温させ、その後に分割すると生地に力が付きます。分割してから復温させると加工硬化が弱くなるため、コシを付けたくない場合はこちらの方が良いと思います。加工硬化と構造緩和のバランスの取り方で、自分の提案したい食感によって変えています。
    そのため、どちらが良いということはありません。自分の着地点がどこかを見定め、それに対する手段として用いるものだと考えておりますので、正解はないと思います。

    冷蔵発酵におけるイースト量については、発酵時間が長い生地はイーストが少なくなるというのはストレートにおけるセオリーと同じであると考えています。また強度が弱い生地はイースト量を少なくしています。

  • 質 問

    スタッフの方の評価はどのようにされていますか? また評価表がありましたらどのような内容か教えてください。

    年2回程度の個別面談(立ち話的なもの)で普段の業務に関することや人間関係などを話してもらうようにしています。その上で、本人の意識やこちらからの要望を伝え、意思確認をしております。
    評価表のようなものはありません。
    基本的にみなさん一生懸命働いているので、あまり評価に上下は付けないようにしています。不器用な人もそのレベルと解釈しています。
    ただ、誰にでも注意する時は言いますし、成形や焼きがきれいな時は褒めています。あまりにも失敗が多い人には説明をしてボーナスを減らしますが、実際にやったのは、今までで2回くらいです。 評価表は特になく、評価は日々働く様子を見ながら行っています。
    評価を給料に反映させることが多いかと思いますが、個人的にはスタッフの給料は会社が回ればいくらでも良いと考えています。当店のスタッフの中で、3人は言い値で給料を支払っています。支払った分は意外と働いてくれます。付き合いやすくなりますし、一つの手だと思っています。
    評価はお金だけではないと思っています。例えば、新しいプロジェクトに携わってもらうなど、「このスタッフにはどういう評価を与えたら喜ぶか」を考えています。 スタッフの評価は、自分が見て判断するしかないですかね。当店では、給料内の能力給は、自分が普段接していて「このスタッフはここまでできるようになった」「このスタッフは他のスタッフよりも接客が良い」ということがあったら、そこを評価して毎月昇給させています。スタッフ側でも、能力給が上がったから、自分ができていると評価されたことが分かります。やはり仕事なので、在籍年数で上がっていくのではない部分があったほうが良いと考えています。

    評価で言われていることを本人が理解できるかどうかも重要ですね。単純に「まだできていない」と言っても、本人に「できているでしょ?」と思われたら、食い違ってしまう。評価の内容をいかに具体的に言うことや、自分が同じパンを作って見せることが必要ですね。評価は本人とのコミュニケーションがちゃんと取れていないとうまくいかないです。「評価をすることに、どういう意味を持たせたいのか」を考えるのが一番大事だと思います。

    何ができる・できないかの習熟表を使っていたことはあります。例えば製造スタッフであればなら、分割、丸め、仕込み……のように、工程を分けて、○×をつけるものでした。。挨拶や言葉遣いがしっかりできているかなどの内容もありました。できる・できない評価はあったほうが良いかもしれないですね。
    また、今はやっていませんが、各ポジションでどのくらい仕事ができるかを、3つくらいに分けていました。シフトを組む時に、評価ごとに色分けされた名前を、この色の組み合わせじゃないと組めないという決まりにしていました。評価に繋がっているかどうかは分かりませんが、スタッフとしては自分がどこまでできているか、それを認められているかを知っていた方が良い気がします。 スタッフの評価は毎月行っています。
    仕込み、窯、成形、折り込み、仕上げというポジション毎に細部5段階評価を行い、それに会社貢献度を合わせて総合的に判断しています。

  • 質 問

    Instagramの投稿をしています。
    SNSやホームページ、メールマガジンなどお店からお客様への情報発信で、何か工夫していることはありますか。

    Instagramを使っています。
    見栄を張らない、真実を伝える、現場の空気感が出せるように努める、「お客様の知りたい情報は何か?」をよく考える。このようなことを大切にしています。 Instagramだけやっています。
    従業員が順番に、1週間に2回更新しています。「いいね!」の反応が参考になりますし、他のお店ともつながるので、やっている意味はあると思っています。 情報を発信するのは極力1か所からがよいと思っています。お店の情報を1か所にまとめれば、お客様に「インスタを見てください」と言える。このかたちなら、お客様にも従業員にも分かりやすいと思います。
    うちではInstagramとFacebookを活用しています。お客様は、どちらかは使っているだろうし、特にInstagramは多くの人は、今は「とりあえず見る」習慣がついているツールだと思うので、それでお店の情報を見るのが一番楽かなと考えて選びました。ホームページも作らず、これだけでいいかなと。今は発信も調べものもInstagramでやりますもんね。
    すべてに言えることですが、“いつも来てくださるお客様の目線”を大切にしています。お客様にとって一番いいツールに、いつもお店に来てくれるお客様のために情報を出す、そんな意識でいます。自分は洋服を買ったりするのがとても好きなので、そこから学んでいるところもあります。
    Instagramは基本的に1人のスタッフに担当させています。発信する写真や文章のテイストなど色々と考えてやってくれています。以前、僕が勝手にあげたらテイストが違うと言われてしまいました(笑)。 当店ではFacebook、Instagramを活用しております。
    その他大きなイベントを行う際には近隣に折込チラシを配布したり、幼稚園や近隣の施設、県庁、役場などに投げ込みを行ったりもします。
    定期的に地元のラジオ番組にも出演して、季節のおすすめ商品をPRしております。
    地域柄、農村地帯で、またお客様もシニア層も多いため、昔ながらのPR活動が主体になっており随時、会員様へのデジタル化した情報発信に切り替えを進めております。

  • 質 問

    卸や通販など、店舗以外での販売は行っていますか?
    販売しているようであれば、店舗で出すパンとの違いはありますか?(アイテムや方法、価格設定など)

    私の店では、私立の幼稚園や保育園に給食のパンを卸しています。
    まとまった数量でご注文いただいておりますので、5%程度の値引きをしています。
    商品内容は店舗で販売しているものと変わりはありません。
    食育の意味でもやる価値はあると思います。
    ちゃんと、パン文化を子供たちの世代にも伝えていきたいと思っていますので。 基本的に、店舗で作ったものは店舗での販売と全体量の5%程度を通販で販売しています。その他での定期販売は月1回の日本橋高島屋、隔月に1回の柏高島屋での販売です。当日焼いたものの販売ですので12時、15時からの販売にしていただいています。お店のアイテムから30種類ほどを選んでいます。
    まれに、その他百貨店での催事などさせていただいておりますが、1種類で店舗販売と同額で買い取っていただき、価格設定は百貨店にお任せしています。 一時期、催事や卸をしていましたが、労働時間の短縮を考えて全てやめました。
    表示シールなども厳しくなったので、やめて、店舗の売り上げを上げた方がだいぶ楽になりました。
    お付き合いで始めた冷凍パンの「パン結び」だけは、最近始めました。冷凍パンはこれから需要があると思うので、様子を見てみたいと思っています。
    店舗のパンと違うと大変なので、いつも同じ製品にしています。 レストランへの卸はやっています。卸す相手に適したパンを提供することを意識しています。例えば、知り合いのレストランに卸しているパンは、お客様の要望を伺い、生地から完全にオリジナルのものです。
    通販は年に1回、その年にとれた小麦をすみやかに製粉し、挽きたてのまま味わうプロジェクト『新麦コレクション』に、新麦を使ったパンを50セット出しています。スタッフからは、間違わずに梱包するのが意外と難しいという声もありました。コロナ禍で、ベーカリーでも始めるところが出てきたので、通販も考えました。ただ、ビーバーブレッドは「街のパン屋さんとして、パンを販売するだけで完結するお店」というコンセプトもあるので、通販をするとお客様がお店に来る機会が減ってしまうかもしれないと思って。お店に来てくださるお客様を大事にしたいと考え、通販はしませんでしたね。 卸販売は県内の飲食店からのご依頼でできる範囲(基本引取り限定)で行っております。
    また、過去にはピザ屋さんからピザ生地のご注文もいただいいておりました。
    注文の量にかかわらず、2割引きで販売しております。
    お取引先様の登録を行っていつでも連絡が取れる状態を作っております。

  • 質 問

    自分(質問者)の店では、前日焼きの食パンを販売しています。
    前日に焼いたパンを販売することはありますか?
    販売する場合、何か加工しますか?そのまま出すことはありますか?

    当店では普段から食パンと一部のハード系のパンは前日焼成の商品を朝から並べております。
    お客様にはきちんと前日のものということをお伝えしていますので特に問題はありません。
    労働時間削減も兼ねて、前日焼成のパンでサンドイッチを作ったり、クリーム類をサンドしたり、様々な加工を施して、味見・検証をしっかり行ったうえで販売しております。
    また、パンの寿命は本来お客様にお持ち帰りいただいてから食べきるまでですので、作ったパンが何日もつか普段から試食を欠かさず行い検証しております。 私の店では前日焼きして販売するパンはありません。
    リテールベーカリーですので、その日に焼いたパンはその日に売ることを基本としています。
    店のシズル感、香りも全然違います。
    工程上、間に合わないのであれば、製法を考えてやれば改善できると思います。
    例外として、リベイクするパン(クロワッサンダマンドやタルティーヌ等)は前日に加工し、冷凍しています。 夕方に焼き上がるライ麦パンなど、次の日に販売する商品もあります。品質に自信を持って出していますので値引きなどもしません。
    営業時間の最後までお客様にパンを選ぶ楽しみを感じていただけるよう、閉店時間までたくさんのパンを焼き続けています。そのため閉店後にはかなりのパンが残ってしまいます。残ったほぼ全てのパンは『Mottainai ZOPF』という仕組みで通信販売しています。 前日の食パンを販売しています。表示はしてませんが、お客様に聞かれたら、「朝一番用に昨日の夕方焼きました」と答えています。
    次の日のサンドイッチにも使うので、そんなに残ることはないです。7時開店で、1回目の食パンが8時30分には焼けるので、それを目安に下げています。
    以前は残った食パンでクロックムッシュなどを作っていましたが、今はしていません。 店頭に並べることは基本的にありませんが、お客様にとって、前日焼きの方がよいと思うものだけは販売しています。
    例えば、食パンは、レストランやカフェから注文を受けた分は、あらかじめ店頭には並べずに確保し、翌日にスライスしてお渡ししています。当日焼いた食パンは、きれいにスライスするのが難しいですし、午前中の早い時間に欲しいと言われることも多いので。
    同様にハード系のうちカンパーニュだけは、昼過ぎに焼き、一晩落ち着かせ、翌朝きれいにカットして販売しています。以前は毎朝焼いて9時ごろから店頭に並べていました。焼きたては喜んでもらえますが、どうしてもきれいにカットができない。よりお客様に喜んでもらえるのはどちらかを考え、今の方法に至りました。その結果、夜勤もなくなり、生産も効率よく回るようになりました。
    前日焼成のパンに対して、抵抗感のあるお客様は少なからずいらっしゃるのではと思います。当日に売り切ること、買った翌日、翌々日までパンがおいしくなる方法を考えています。もしパンが売れ残ってしまったら、有限会社ビッグイシュー日本が運営する『夜のパン屋さん』で販売してもらっています。

  • 質 問

    新商品の開発から発売に至るまで、どのように行っていますか?
    (開発から発売までの期間、開発のヒントにしているモノ、従業員からのアイディア出しをどうしているか・・・)

    常に、頭の中に新商品のきっかけになるような「種」がたくさんあります。
    ただ、次々と商品化して増やし続けてしまうと、売場に並べられないだけでなく、販売スタッフも混乱したり、製造スタッフも商品づくりがおろそかになってしまいます。製造、販売の両方のオペレーションを見て、コントロールしながら商品化しています。
    「ビーバーブレッド」というフィルターを通して商品はお客様に届くので、商品にはそれぞれ売場に並ぶまでのプロセスやストーリーがあります。
    商品化するには、2つの道があります。 
    スタッフと日々コミュニケーションを取るなかで、製造スタッフのアイデアや販売スタッフが聞いたお客様からのリクエストから発見があり、商品化する流れと、新たな素材をいただいたり、教えてもらったりして、「これ、いいね!試してみよう」という流れ。そこに自分の頭の中にある「種」を当てはめてみて、足したり、引いたりしながら、新商品を作り上げていきます。 新製品は毎日必ず出します。10年目に突入します。
    農産物直売所という特有のお店ですので、毎日のように季節の野菜・果物が店頭に並び、様々な素材をパンにすることができる環境にあります。
    原料メーカーさんや問屋さんからもらった新商品やレシピ、ネットやメディアで見た情報などを参考に、現在、店にある原料や生地などを活かして商品化しています。
    新商品は必ずスタッフと試食を実施し、評価後に店頭に並べます。
    店頭に並べる際にプライスカードとパンの写真をグループLINEに送ることになっており、休みのスタッフも知らないことがないようにしております。 新商品の開発自体がルーティンにならないことは、リテールベーカリーにとっては大事なことだと思っています。
    思い浮かんだら、作りたいものがあったら、新商品として試作を始めるという流れです。
    むしろ新商品が出なくてもいいと思っています。
    作りたいものが浮かんだときは、販売まで非常にスピードが早いです。だって食べてもらいたいんですから(笑)
    30分でレシピ構築し、その日のうちに商品にします。(発酵時間によりますが)
    日常での気づきを大事に、感動を忘れないことが、作ってみたい、食べてもらいたいという行動になっていきます。美味しさの共有ですね、苦しい新商品開発はしない方がいいと思っています。 自店では、考える力をつけるため、従業員も新商品を考えています。
    2ヶ月に1品、原価計算、ネーミング、プライスカードの一言まで考えてもらいます。
    やはり、自分で考えた商品は、「売ること」を考えるようです。
    私は、季節に合わせて考えることが多いですが、問屋さんの提案商品もよく使います。新しい材料など持って来てくれるので。毎月いくつか考えるので、長々と考えないで、ヒラメキを大事にしています。

  • 質 問

    お店のビジョンやオーナーシェフ(自分)の考えを従業員に浸透させるためにしている工夫はありますか? 仕組みなどがあれば、教えて欲しいです。

    難しいですね。 
    伝わっているのかなぁ?と思うことがよくあります。
    いいパンが焼けた時は褒めて、ダメな時はどこが悪いか、説明するようにはしています。
    やる気を高めるために、コンテストや製パン試験などへの参加を勧めており、半数くらいのスタッフが取り組んでいます。
    出来るだけ話かけるようにしていますが、なかなか考えが浸透しているとは思っていないです。自分の考えだけはブレないことは大事だと思います。 こちらからスタッフに「ビーバーブレッドはこうあるべき」と押し付けたり、考えを統一させようとは思っていないです。製造スタッフも販売スタッフもビーバーブレッドという店の雰囲気を見たうえで、入ってきているので、あまりズレが生じることはないです。スタッフから「こうありたい」「こうしたらどうか」という声が出てくるような雰囲気になって欲しいですし。
    スタッフはそれぞれ考え方も違うし、お客様へのアプローチの仕方も違うけれど、ビーバーブレッドをお客様はどう思われているのか、どう見てくださっているのかを考えています。
    まず考えるべきことは、目の前に来てくれるお客様のためにどうすればよいか。「普段来るお客様のため」なのかが一番大事だと思います。
    お客様がいつ来られても、新しく発見する楽しさやワクワク感を感じてもらえるようにしています。 製造2名・製造補助2名・レジ1名にて運営しております。
    朝礼は毎朝実施、注文などの連絡事項や売上実績報告はグループLINEの活用をしております。
    スタッフが疑問や問題を抱えている時にきちんと話して誤解や不明なことがあるまま仕事をさせないようにしております。
    経営方針や決算報告的なものは朝礼やミーティングにて話します。
    また、第三者機関による職場ストレスチェックも実施しています。(年1回)
    研修扱いとして、製パンセミナーや展示会等のイベントへの参加や原料メーカーの工場視察、生産者視察もしてもらったり、ネットやメディアで取り上げられた商品を実際に入手し、試食会を開催するなどでスタッフの認識を統一するよう努めております。 いちばん難しく、大切なことですね。
    うちのような小さな店ならば、シェフがやって見せるのがいちばん伝わりますね。
    あとは日々のコミュニケーションしかないでしょう。
    いまはLINEなどコミュニケーションツールが手軽に使えますので、うちでは活用しています。
    人数が多いと、いちばん下の者までシェフ一人で同じ考えを共有しようとするのは無理かと思います。まずは右腕左腕2人と共有を図り、ここ(シェフと2人)だけはブレないようにしていくことから始めたらいいと思います。そこから広げていくという感じでしょうか。

  • 質 問

    コロナ禍の状況が続いていますが、焼き立てのパンなど、パンの出し方をどうしていますか?  (衛生面を気遣って、袋詰めをしているものの、焼きたてパンを食べて欲しいと思っています。)

    このコロナの状況がいつまで続くかわからないですから、とりあえずの対策でビニールシートの仕切りでなどという対応ではなく、ショーケースを作るなど、対面販売をしっかり行うということがいいと思います。
    もちろん袋詰めした方が美味しいパンは、袋詰めで販売したほうがいいですね。
    「パンを美味しく食べてもらうには、どうしたらいいのか?」
    シンプルに考えればいいと思います。 自店では、袋詰めはしてないです。コロナの感染が広がり始めた当時、忙しくて袋詰め出来なくて、そのまま今日まで来ています。お客様からのご指摘を受けたのも、1回位しかありません。
    一度包装すると、止めるタイミングが難しいですね。
    緊急事態宣言があけたら、少しずつ減らしていくとか・・・。
    そこでお客様からご指摘があれば、来年まで待った方がいいと思います。 うちは基本的には袋詰めはしないです。世の中、色々な考え方があって悩ましいですが、気にしないでやることも一つだと思います。過剰になり過ぎないということ。
    最後は「普段、来てくださるお客様の目線」でどうすればよいかということだと思います。コロナが起きた頃に、テレワークしているというお客様から言われて印象的だったのが「ビーバーブレッドは変わらず、ビーバーブレッドだった。」という言葉。ストレスから解放されたくて、息抜きに来てもらっているのに、店が感染対策ばかりの雰囲気・・・というのは違うと思う。
    コロナ対策をすることも大事で、落としどころは難しいですよね。一方で僕らみたいなパン屋さんが袋詰めして売ったら、焼きたてのあのパリッと感が出なくなってしまう。販売スタッフからの話や情報をしっかりと聞いたうえで、自分がやっている仕事がどういうことなのかを見直して、それに基づいて、落としどころを見つけるといいと思います。そこはセンスであり、こういうときこそ腕の見せ所、帰るべき所だと思います。いつも来てくださるお客様のために、自分たちはどうすればいいんだろうか、どうしたいのかというのが一番かと思います。 パンを袋詰めしていた時期もありましたが、焼きたてのイメージが損なわれ売上も減りました。
    その後は袋詰めをやめて、売り場什器に透明カバーをかけ、2021年8月には移転に伴い、透明カバーも廃止しました。現在のところお客様よりご不満のご意見は頂いておりません。
    コロナ禍も時間の経過とともに過敏だった意識がだいぶ薄れてきている印象です。
    お客様は焼き立てのパンをお求めですし、近隣の同業店舗も、レジでのアクリル板設置等の対応が多いのが事実で、袋詰めしているところは稀です。
    売上を見ても、時間を追うごとにコロナ前の状況に近づき、現在では移転リニューアルの影響もあり盛況になっております。

相談室シェフ プロフィール
  • 伊原靖友シェフ

    パン焼き小屋Zopf 伊原靖友シェフ

    東京都生まれ。18歳でパン職人を志し、平塚のパン屋で修業し、1986年に父が開いたパン屋を継ぐ。2000年、千葉県松戸市に「Zopf」を開業。1日300種類 のパンを焼き、6000個以上のパンを売る、行列のできる人気のパン屋となる。

  • 井上克哉シェフ

    ブーランジュリー・オーヴェルニュ 井上克哉シェフ

    東京都生まれ。中村屋「ファリーヌ」、「ビゴの店」、「ドンクジョアン」チーフ勤務を経て、2003年「ブーランジュリーオーベルニュ」を開業。ドンク在勤中からベーカリーコンテスト に参加。日本屈指の受賞歴を持つ。

  • 割田健一シェフ

    ビーバーブレッド 割田健一シェフ

    埼玉県出身。高校卒業後「ビゴの店(プランタン銀座)」入社。2006年より同店シェフを務める。2007年、第1回「モンディアル・デュ・パン」日本代表に選抜される。2011年から「銀座レカン」グループのブーランジェリーシェフを務め、2014年12月「ブーランジェリーレカン」開店。2017年11月に「BEAVER BREAD」をオープン。

  • 谷口佳典シェフ

    ブーランジェリー・フリアンド 谷口佳典シェフ

    兵庫県生まれ。
    2003年~2009年まで株式会社ドンクでパン職人としての勤務を経て、
    2009年製パン技術研修のため渡仏。4店舗で製パン研修を受け、その後2店舗でシェフ・ブーランジェを歴任。2010年に帰国し、株式会社フリアンドのシェフ・ブーランジェとなり現在に至る。2015年、第5回「モンディアル・デュ・パン」世界5位、2015年と2016年で、「モンディアル・デュ・パン」の健康と栄養パン部門で世界2連覇。第8回「モンディアル・デュ・パン」に日本代表として挑戦。

  • 西山重明シェフ

    森のベーカリー&カフェ(旧:パン工房マローネ) 西山重明シェフ

    宮城県生まれ。1997年「デンマーク」入社、2001年同店退社。全国農業協同組合連合会茨城県本部入会。ポケットファームどきどき「マローネ」店長となり、現在に至る。パン作りに研究熱心で、ベースのパン生地に副材料を混ぜ、新しい生地を作る「リミックスプラス製法」を製パン講習会などで披露している。
    ※2021年8月に店舗リニューアルに伴い、店名変更