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2020.11.17

油脂のこと

『MIYOSHI no KIMOCHI」サイト開設特別インタビュー 『パン焼き小屋Zopf』伊原靖友シェフ

長年弊社製品をご愛顧いただいている千葉県松戸市の人気店『パン焼き小屋Zopf』のオーナー、伊原靖友シェフに『MIYOSHI no KIMOCHI」サイトを立ち上げるにあたりお話を伺いました。

 

ミヨシ油脂:ミヨシ油脂では、特設サイト『MIYOSHI no KIMOCHI』を立ち上げることにしました。
特設サイトにどんなことを期待されますか?

 

伊原シェフ:特設サイトはどんな内容なの?

 

ミヨシ油脂:ミヨシ油脂の製品を使ったレシピや採用事例(コンテンツ名「Share MIYOSHI」)、解決事例などを掲載していきます。

 

伊原シェフ:レシピは、最近、僕は一般の人が作っているレシピを参考にすることがあるよ。

こないだも、台湾カステラが注目されていると耳にして、どんなものなのか調べたことがあったんだけど、もう早々とレシピがネットに出てくるんだよね。

そして、一般の人が作るレシピってさ、材料や配合、製法もシンプル。それが具体的に書いてある。すごい人は失敗したことや色々な材料を使ったことなど全部ブログで書いてあるので、参考になる。

素人ができるレシピってことは、当然プロにもできるってことでしょ。

パン屋さんも今は忙しいし、働き方改革とかも言われている時代だから、限られた時間で商品開発を考えなくてはいけない。そうなると、失敗しないレシピが欲しい。

レシピの中に、レシピを考えた人が、実際に失敗したこと、製法のここがポイントだよっていうのが書いてあると、参考にしてもらえるのではないかな。

 

ミヨシ油脂:なるほど!ミヨシのレシピも作ったスタッフの思いや失敗談、注意すべきポイントなど、入れてみようと思います。

 

伊原シェフ:そうそう。“キレイに書かれたレシピ”ではない方がいいと思うよ。レシピを作ろうとすると1回で完成することなんてなかなかない。1つのレシピが出来上がるまでに、きっとレシピを作った人は、本当は何度も試作して、失敗もしているはず。 それを見せた方が、見る側にしても参考にするんじゃないかな。

解決事例も同じことが言えると思う。何かの質問に対して、答えが、1つしか書いていないことがあるけど、答えはたくさんあってもいいと思う。僕も、20年以上前にBBS(電子掲示板)をやっていたけど、パン屋さんが悩みを書き込むと、様々な立場の人の意見が書き込まれる仕組みにしておいた。そうすると、店舗運営のアドバイザーやジャーナリストなど様々なジャンルの人が書き込むようにして。

ミヨシさんの特設サイトも、「こんなこと聞いたら恥ずかしい」と思うようなことでも、ここなら聞けるという、質問の場、交流の場を作ったら、役に立てると思う。匿名でもいいし、名前を出してもいいし。

意外とパン屋同士の横のつながりは、あるようでないから。

パン屋の悩みは今、パン作りよりも経営、人手不足だったりもする。

パン作りだけでなく、どんなことでも悩みや相談を書き込むと、色々な人が回答する仕組みづくりをしては?

 

ミヨシ油脂:そうですね。サイト立ち上げ時すぐに、その仕組みを始めるのは、難しいですが、ぜひこのサイトを交流の場にしていきたいです。

 

伊原シェフ:そして、寄せられた質問とかお悩みに対して、ミヨシの技術の人の答えとか、僕の答えと決まった人の答えだけでなく、サイトの会員のパン屋さんも、答えを書けるようにした方がいいと思うよ。買う側の消費者の答えも必要だし。

質問に対しての答えは、1つではない。 答える人を1人に固定するのではなく、色々な意見を集め、質問した人が、その中から自分なりに答えを選択して、解決してもらえるように。

さっきも言ったけど、全国のパン屋さんを考えた時に、パン屋さん同士の横のつながりって、あるようでないんだよね。皆、色々な悩みを抱えながら、解決できずに、日々、パンを焼いている。

僕自身も、今は「ZopfのOB」(Zopfから独立した職人さん)や「リテールベーカリー協同組合」でのSNSでグループを作ってやりとりをしている。(伊原シェフは同協同組合の理事長)

そのなかでも、色々な質問とは悩みが来る。従業員が病気になってしまったとか、対応に困ったお客様のこととか・・・。

そういう悩みがアップされると「最初にこういう対応をすべき」とか「自分の時はこうした」という、リアルな答えが寄せられてくる。寄せられる悩みは、やっぱり他のみんなも、多かれ少なかれ、経験していること。 サイト上で、そういうリアルに起きていることを交流できていることが、サイトを利用する人にとって、役に立てるのではないかな。

 

ミヨシ油脂:そうですね。

今後、サイトの中のコンテンツ「Share MIYOSHI」で皆さんのそういう工夫や取り組みを共有しあえるようにしていきたいと思います。

もし、なにか会員のベーカリー様から、何か質問やご相談が来た際に、伊原シェフも回答していただけますでしょうか。

 

伊原シェフ:いいよ。シェフの回答もあると同時に、会員のパン屋さんが書き込めるようにできたらいいんじゃない?昔の「掲示板」とか今で言う口コミサイトみたいに、「ウチはこうやっている」「ウチはこうやっている」というように、どんどん書き込まれていって、それを、質問した人が、読んだ中から、自分で答えを見つけるというようにしてみたら? 答えなんて1つじゃないんだから。

匿名でもいいし、〇〇県のパン屋ですって書いてもらってもいいし、選べるようにしておいて。

サイト主催者が動かさないと、動かないサイトはすぐに廃れてしまうよね。やっぱり参加している人(会員になっている人)が自発的に動いているところから、新しいことがどんどん起きているような仕組みを作らなきゃ。

他には、見せられるのかどうかわからないけど、マーガリンの工場って見たことないから、作っているところの動画とかあるといいんじゃない?絶対やった方がいいよ。やっぱり「見せる」ことで信頼って得られるから。いくらマーガリンはこの原料でこうやって作っていますと説明されても、「え~、ホントはどんなことやっているのだろう」ってみんな思っているだろうし。

赤裸々に自分のところの製品を見せたほうがいいと思うよ。

 

ミヨシ油脂:確かに、以前から伊原シェフには、マーガリンのこと、原料もわからないし、作り方もわからないっておっしゃっていましたね。もっと原料のことやマーガリンのこと、作っている側が、説明すべきと。マーガリンの製造ラインなどご紹介をしていけたらと考えております。

 

伊原シェフ:そうだよ。もっと見せなきゃ。やっぱり現地行かなきゃかな。「パームって何?」って意外と知られていないと思うよ。マレーシアの農園見せてさ。(笑)

パームの木とか登ってみるとか。パームの実、取ってみるとか。絞ってみたり、食べてみたり。食べてみるとどうなる・・・?とか。でも食べ物なのだから、それくらいやらないとさ。

そういうのが見えないと、パン屋さん自身もパンの原材料の知識も少ないから。だから、ネットの情報とかに惑わされてしまう。

いまだに「マーガリンは石油からできているんでしょ」なんて言われたりしない?

 

ミヨシ油脂:はい、そうですね・・・。そこは、メーカーとして発信し続けていかないと、誤ったイメージを拭い去ることは容易でないと感じています。

 

伊原シェフ:やっぱり、もう長い間繰り返しているけれど、バターじゃなきゃいけない理由にマーガリンが引き合いに出されたりすることがないように、あとはマーガリンメーカーの説明が言い訳に聞こえてしまうことがないように、しっかり見せることが大事だよ。

マーガリンを使うパン屋さんは、たくさんいるわけで、そういうパン屋さんが消費者に「このパンマーガリンを使っているのか」と言われた時にちゃんと答えられるようなものはあってもいいのでは。

 

ミヨシ油脂:そういう思いで、「マーガリンあんしんBOOK」を制作しました。店頭に置いてくださっているベーカリー様もいます。

最後に、「MIYOSHI no KIMOCHI」にエールをお願いします。

 

伊原シェフ:せっかくこのタイミングで、特設サイトを立ち上げるんだから、「実需のあるサイト」になってほしい。需要がちゃんとあるサイトに。「こんなことがあるといいな」とパン屋さんが思うこと。

地域の食を支えるという意味でも、パン屋さんがなくなるとその地域が困るわけで、パン屋さんのためにも、地域のためにも、盛り上がるようなコンテンツがあるといいね。

お金だけでない「利」があること。これからはすごく大事なことだと思う。

リアルタイムな内容だと、今はコロナ関係になるけど、各々のお店でこういう工夫をしているという例を紹介したらいいと思う。要は、パン屋さんは他のパン屋さんの実例が知りたいと思うし、何が見たいのかを、パン屋さんに聞いてみたらいい。

ベーカリーシェフの製パン講習会に参加して興味深いのは、講師のシェフが、「この工程でこんな道具を使うんだ」というのを知れることだったりする。日頃使っている道具や型、時には自前で作ったものなんかあったりして。左官屋さんが使うような道具でパンを作ったりしているのを見て、「あれ、いいな」という発見があったり。

そういう実践から考えられた「何か」がサイトで見られるといいよね。

なかなか、よそのパン屋さんの作業場って入れないから、そういうのが紹介されているといいよね。

それもある意味「レシピ」でもある。「ものづかい」というか。

そういうのも含めたレシピがあるといいと思うね。

そういう工夫って、やっている人本人は、意外と気がついていないんだよね。すごいでしょって思っているわけではない。当然のごとくやっているので。ほかの人もやっていると思っている。他のパン屋さんでは見ないようなものを見つけることも、サイトの役割なんじゃないかな。

「えっ。こんなことやっているんだ」と思うような、製法だけでなく1日のスケジュールの組み方などそれぞれみんな違うから、それを知ることができるといいと思う。メーカーさんは「メーカーさん発信のサイト」で自社製品を紹介・説明することも大事だけど、よりもこうした情報を交換し、シェアする「場をつくる」のがメーカーさんの仕事でもあると思うんだよね。そういう意味で、この「MIYOSHI no KIMOCHIは「場をつくる」存在になっていって欲しいね。

 

ミヨシ油脂:ありがとうございました。

ベーカリー様同士のつながりができていけるようなサイトにこれからしていきたいと思います。

これからもどうぞ宜しくお願いいたします。

 

SHOP DATA

パン焼き小屋 Zopf(ツオップ)

住所:270-0021 松戸市小金原2-14-3

 

オーナー:伊原 靖友シェフ

1983年、18歳にしてパン職人になることを決意し、平塚のパン屋に修行に赴く。厳しい修行時代を経て1986年に帰郷、父が開いた千葉県松戸のパン店を継ぐ。

2000年、『Zopf』としてリニューアルオープン。2003年に2Fにカフェ をオープンして、現在に至る。同店は常に250種類以上のパンを置き、1日6000個以上を売る行列の絶えない大人気店。